ナツノタムラソウ 

シソ科 アキギリ属

 
2023.7.26 神奈川県   2023.7.26 神奈川県


山地の木陰などに生える多年草で、高さは20〜70センチ。茎は無毛又は軟毛が生える。葉は羽状複葉又は 2 回羽状複葉で、まれに3回羽状複葉、葉柄から茎にかけて開出する長軟毛がある。小葉は卵形、楕円状卵形、菱形、まれに披針形で、縁には鋸歯があり、先端は鋭頭、上面に短毛がある。
花は茎の上部に花穂となり多数付く。花穂軸は無毛又は開出する軟毛が生え、ときに腺毛が混じる。花冠は唇形、青紫色で長さ1センチほど、外面に毛がある。雄しべは花冠の外に長く突き出る。花期は6〜8月。神奈川県〜近畿地方に分布する。

〜徒然想〜

ナツノタムラソウとミヤマタムラソウとの違いが分からなくて放置していたのですが、アキノタムラソウのページを見直すに際し、放置していた課題にチャレンジしてみました。

まず、雄しべが長く花冠から飛び出す点は同じです。アキノタムラソウは飛び出しません。

葉は3出複葉又は1〜2回羽状複葉で、ミヤマタムラソウの方は裂片がやや円くなる傾向があります。ナツノタムラソウは葉の出方は同じですが、葉柄から茎にかけて開出する長軟毛があることが明らかな違いです。小葉の裂片の先端が鋭頭になるようです。

花穂軸は、ミヤマタムラソウの花穂軸や萼には白軟毛が密生し腺毛が混じることが多く、別名ケナツノタムラソウの由縁です。一方、ナツノタムラソウの花穂軸は無毛又は開出する軟毛が生え,まれに腺毛が混じります。

以上を踏まえ、葉柄に開出する長軟毛があること、花穂軸の毛の有無、小葉裂片の先端が鋭いかで両者を区別しました。

また一方で、神奈川県植物誌2018には、「頂小葉の形や花穂軸と萼筒の毛の量はナツノタムラソウと中間的なものもある。」としています。あるウェブページではナツノタムラソウとミヤマタムラソウに関しては連続的で曖昧なものなので、区別することがそもそも難しいのかもしれません、とあります。同感できます。

ご指摘をいただき、当初掲載の画像はダンドタムラソウでした。別項として掲載しました。

ナツノタムラソウについては、産地を駆け巡り、3度目の探索でみつけることができました。花期には少し遅くなってしまいましたが、花は残り、花穂軸、葉、葉柄から茎にかけて開出する長軟毛があること等を確認することができました。
ご協力頂いた各位に、感謝申し上げます。

−同じ科の植物−

 2023.7.26 神奈川県
花穂軸は有毛
   2023.7.26 神奈川県 (画像にポインターをおいてください)
開出する長軟毛がある
 
 2023.7.26 神奈川県    2023.7.26 神奈川県
 
 2023.7.26 神奈川県   2023.7.26 神奈川県
葉に毛が散見する
 
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