湿った草地、林下、林縁などに生える多年草で、高さは20~40センチ。ときに100センチ。葉は1個、ときに2個、小葉は7~15枚、全縁。鞘状葉や偽茎は淡緑色か淡紫褐色で、班がほとんどない。葉と花はほぼ同時に開く。花序柄は短く、葉と同じ高さか低い。
仏炎苞は紫褐色で緑色が混じり、舷部は内面に著しい隆起脈があり、やや外曲して前に垂れ下がる。付属体は太棒状~棍棒状で、黄白色から紫白色で紫褐色の班がある。花期は5月。静岡県、山梨県に分布する。
~徒然想~
撮影地には本種とオオマムシグサがあり、両者はよく似ています。違いは、本種は花序が葉と同じ高さか低い位置に付き、オオマムシグサは葉より高い位置に付きます。それを指標にこの地の両者を観察すると、他の違いも分かってきました。
付属体は、本種が紫褐色~淡茶褐色で、班が有るものと無いものがありました。オオマムシグサは紫褐色、緑褐色、黄白色などいろいろありました。
全般的にオオマムシグサの方が背丈が高く、本種は40センチ以下のものが多いようでしたが、1株だけ70センチほどでがっしりした個体が見られました。
興味深いのは、この地にはホソバテンナンショウも多いため、ホソバテンナンショウと本種またはオオマムシグサとの交雑と思われる個体も見られたことでした。(ホソバテンナンショウとの交雑種?)
なお、イズテンナンショウは、現在ヤマグチテンナンショウと同一種とされています。ヤマグチテンナンショウの解説によれば、山口県と伊豆半島に分布し、高さは70センチに達し、小葉が7〜9枚とされています。
対し、今回訪れた産地では、葉が15枚ほどと多く、賑やかな感じです。背丈は多くは30~40センチほどです。両者を別種とする考えがあるようで、同意したい想いです。今後の検討を待ちます。
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