トウヤクリンドウ

リンドウ科 リンドウ属

 
2003.8.23 長野県八ヶ岳  


高山の砂礫地、草地などに生える多年草で、高さは10〜30センチ。花茎の脇に根出葉を束生し、葉身は線状披針形、茎葉は数対付き、披針形。
花は茎頂または上部の葉腋に付き、花冠は筒状、先は5裂するがあまり開かず、長さ3.5〜4センチ、淡黄色〜黄白色で、濃緑色の斑がある。花期は8〜9月。本州中部以北〜北海道に分布する。
北海道のものは丈が低く花が5センチ以上になり、クモイリンドウという品種とする考え方がありますが、分けないのが主流のようです。

〜徒然想〜

2003年8月、初めてこの花に出逢いました。足下を見ると緑の草に埋もれるように、つんと頭を出しています。目が慣れてくると、もう点々とあちこちに見えてきます。少ない土の岩の上にも天を突いて並んでいます。
花は天気が良くても、僅かしか開かきません。それでも、花の中から虫が這い出してきます。
この花が終わる頃には、八ヶ岳の花の多くは終わります。だから、この花には八ヶ岳の花への別れを感じます。

トウヤクは「当薬」の字をあてます。当薬とはリンドウ科のセンブリの根を含む全草から得る生薬です。当薬は漢方処方には用いられませんが、苦味を利用して食欲不振などに健胃薬として利用されてきた歴史をもっています。トウヤクリンドウは、センブリと同様に苦味と健胃薬としての作用を持つことからこの名が付けられました。

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2003.8.23 長野県八ヶ岳
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