亜高山〜高山帯の砂礫地、岩場などに生える多年草で、高さは10〜50センチ。茎は斜上又は下垂し、葉腋ごとにジグザグに伸び、ほとんど分枝しない。根出葉は花期にはない。茎葉は三角状卵形でほこ形、先が尖り、基部は切形〜くさび形、質は薄いが硬く、光沢がある。
頭花は2〜5個が疎らに付くか単生し、直径1センチほどで淡紅紫色。頭花の柄は1〜2.5センチで細い。総苞は狭筒形で、長さ9〜10ミリ、総苞片は7列で、圧着し、先端は尾状に伸びる。花期は8〜9月。東北地方北部と中部地方北部に隔離的に分布する。
〜徒然想〜
ヤハズトウヒレンの高山型としてチャボヤハズトウヒレンが報告されていましたが、近年は分けない考えが主流になりました。チャボは高さが10センチ以下とされ、ヤハズトウヒレンは50センチほどになります。これらがヤハズトウヒレンに統一され、10〜50センチになったのでしょう。
本画像の撮影地は、山梨県北部の深山です。暗い湿った岩場で、岩壁からぶら下がっていた記憶があります。名前が分からず、13年経って同定を試みて本種としたものです。
葉が狭い三角状卵形で、先が長く尖り、光沢があること、総苞の形態などが決め手です。
改訂新版「日本の野生植物」(平凡社刊)に本種の写真が収載されたのも、助けになりました。
似た名にヤハズヒゴタイがありますが、別種です。
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