ヤマウツボ

ゴマノハグサ科 ヤマウツボ属

山地のやや湿り気のある落葉樹林下に生え、植物の根などに寄生する植物で、高さは10〜30センチほどになる。
花茎は直立し、穂のような総状花序に筒状唇形花を付ける。花は紅紫色を帯びた白色。花期は4〜7月。関東地方以西〜九州に分布する。

〜徒然想〜

奥多摩御前山の登山道で見た、見知らぬ植物らしきものが気になっていました。枯れ草からわずかに頭を出した貧粗な画像が残っていました。

のちにヤマウツボを知り、確認に行くことにしました。撮った場所は思い出せませんが、こんなとき、デジカメの撮影情報が役立ちます。撮影時間から、おおよその場所が分かります。林の中をうろ覚えの記憶を頼りに探し、見つけることができました。
すくっと背を伸ばし、立派に成長した姿です。
周りには頭を出したばかりのものも見られ、最初に見たのがこれだったと確信しました。3年後の確認でした。

−同じ科の植物−

2006.5.3 東京都奥多摩
2006.5.3 東京都奥多摩 2009.5.2 東京都奥多摩

Ciconia(福井県自然保護センター研究報告)2465-702021)には、「福井県で初めて確認されたヤマウツボ(Lathraea japonica Miq.)の個体数推移の記録(2016-2020) 榎本博之・阪本英樹 」として、ヤマウツボの研究が報告されています。
その一部を引用させていただいて、ヤマウツボの成長推移をまとめました。

ヤマウツボの花は、下から咲き始めます。蕾は、唇形の花が閉じた状態です。
咲き始めると、雌しべの成長が早く、花から突出します。花冠筒部があとから伸長し、雌しべの成長が止まり同じ長さになります。先端が丸いのが柱頭です(雌性期)。
花冠の筒部の中には雄しべがあり、雄しべが伸びて雌しべとの距離が近くなる頃から葯の裂開が始まります(雄性期)。
受粉を終えると花冠の筒部が落ち、雄しべがむき出しになるようです。

蕾 2011.5.15 富士山麓 花序 2011.5.15 富士山麓
雌性期 2009.5.2 東京都奥多摩
花冠の奥には雄しべが見える
雌性期 2011.5.15 富士山麓
萼から花冠が出て柱頭が見える
     
 雄性期 2012.5.20 富士山麓
下方は上唇が落ちている
   雄性期 2011.5.15 富士山麓
上唇に覆われるように雄しべが見える
     
 2015.5.2 山梨県
動物の掘り起こしか? 多肉質の鱗片がみられる
   2009.5.2 東京都奥多摩
雄しべが残る?
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