シテンクモキリ

ラン科 クモキリソウ属

山地の明るい林下や湿った場所に生える多年草で、高さは10〜25センチ。葉は2枚で、広卵形、葉の縁は細かく縮れる。
花は茎頂に10数個ほど付き、側萼片は線形でねじれ、強く外側に巻き、淡紫色。唇弁は黄緑色で、中央の溝に紫点がある。花期は7月。北海道、東北〜中部地方に分布する。

〜徒然想〜

花探しの醍醐味(喜び)は、偶然の出逢いもありますが、何といっても自分で探し出したときでしょう。
希少な植物の自生地が、図鑑やネット情報で分かることは極めて希です。それでも、わずかなヒントや画像の背景に写された植物などから生育環境を知ることにより、少しでも確立を高めて花探しをします。本種は、そうしてみつけ出した植物です。

花が緑色で目立たないことが予測されましたので、丹念に草むらの中まで覗き込みます。
あった一! 例によって思わず声が出ます。達成感に浸る至福の一瞬です。

2008年3月に新種として発表された、昆虫のクワガタを連想させるような植物でした。

−同じ科の植物−
2011.7.17 長野県

2011年の至福の時から数年経ち、静岡県にも見られることを知り探し出しました。ここにもいたのか! と、これも感動の時です。

2021年は、偶然この地をよく知る方と出会いました。話をすると、素心のシテンクモキリが更に登ったところにあるということで、探すことにしました。しかしながら、再度その方に出会うと、草刈りにあって消えていたとのことでした。

同じラン科クモキリソウ属にギボウシランがあり、紫条のない素心タイプが報告されています。
2021年に撮影したシテンクモキリの画像の中に、唇弁にシテン(紫点)が見えない個体がありました。側萼片は紫色を帯びず黄緑色です。
これが素心と呼ばれるものか定かではありませんが、次回唇弁の紫点の有無をしっかりと確認したいと思います。

2011.7.17 長野県 2011.7.17 長野県
素心? 2021.7.6 静岡県  2016..7.7 静岡県
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